2017年6月14日

バッハフランス組曲中毒

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この歳になって発表会なるものに出演することになるとは誰が想像しただろうか? 先生は春に、「みれいさんにはバッハがいいと思う」といった。わたしもそれがいいと思った。バッハは、どの作曲家とも違う陶酔感、高揚感、無に至る感じがすごい。自動演奏みたいになってくる。天と地と私だけになる。バッハの中でフランス組曲からある曲を選んだ。練習しはじめたら、もう止まらない。すぐに続けたくなってしまって何度も何度も何度も何度もアホみたいにループしてしまう。練習が練習でなくなってただもう指が止まらない。赤い靴はいた少女状態。くるくると踊らされる。それだけではない。朝起きれば起きた瞬間から昨夜練習したフレーズが頭で鳴り続ける。歩いていても食べていてもフランス組曲。寝て覚めてもフランス組曲。左手の音の流れ、主なメロディライン、そして中間のラインの音たち……。バッハ、一体、アンタ、どうなってんだ⁉︎ 人生のはじまり、高揚、事件、落胆、許し、何もかもが音符にのっている。そこに自分自身が入り込むと陶酔となる。これはもはや麻薬である。依存症である。フランス組曲中毒である。猫は私が心配になったのか、バッハを弾きはじめると必ず、傍らで黙って番をするようになった。発表会は、岐阜にて、夏の夜に小学生を中心にとり行われる。