2015年10月29日
つばめは踊る
田舎にきて、何がこころの栄養になるかといったら徐々に移ろう自然の景色である。毎日毎日微妙に変わる山の色。うすい緑、深い緑、黄金に変わる田の風景。編集部の軒下に巣をつくったつばめ(吉岡さん夫妻)と子らの成長を見るのもそうだった。日々、ごくわずかに変化する、うつろいのみごとさよ! 吉岡さんは、2度、子育てをし、2回目は3人の子をうんだ。あーちゃん、いーちゃん、うーちゃんと名をつけた。毎日3人の子の顔を見た。みるみる大きくなった3人の子と吉岡さん夫妻は、ある日、巣にいなくなった。初夏、とうとう、巣立ちの日はきたのだ。たまたまきていた海・ソーヤー君と、巣立ったね〜と巣をみあげた。その日の夕方のことだ。わたしはひとり窓辺に足を運んだ。声がする! 向かいの電線に、5羽のつばめはいた。吉岡さん夫妻、あーちゃん、いーちゃん、うーちゃんなのである。こちらを見て座っている。うっとりとながめていたら、突如、一羽、一羽、それはきれいにカーブを描いて、わたしの前をゆったりと飛んだのである! こころの中でワルツが流れる。うつくしく5羽が、わたしの前で旋回する。何度も何度も舞うのである。わたしはありったけの感謝の気持ちをテレパシーでからだじゅうから送った。5羽と交流があった。つばめたちと一体となって恍惚とした気持ちが全身を襲った。