2015年4月6日

あたり

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あたりが猫ではないかもしれないと思ったのは、立花さんが、まだ仔猫の時分に「あらー、大きい手足の猫ちゃんねー」といったことがきっかけだ。わたしもその立派さに、あたりは猫ではなくトラになるかもしれないと本気で感じた。この4月に1歳となるあたりを、先日八ちゃんが見て、「もはや猫ではない、人間である」といった。顔つきが、とても猫ではないという。たしかに目つきが一般的ではない。福太郎さんは、「猫ではない、犬である」という。福太郎さんは、あたりをいつも「いぬねこ」と呼ぶ。あたり、と呼べば、「はい」と答え、ごはんがほしいのかとたずねれば、「イエスアイアム」といったりもする。甘酒を好み、玄米をほおばる。遅刻しそうになれば、肉球でぺしぺしと時間ぴったりにたたき起こし、ガスをつけっぱなしにしてお鍋から吹きこぼれていたりすると、「ガス、ガス、ねえ、ガス」といいにくる。キッチンに立っていて、ふりかえると中学生くらいの男の子になったあたりが「オフクロ、メシ」などといいだしそうになるのを、背中に感じる瞬間すらある。