2014年2月9日

香水のはなし

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わたしの母は、子どもだからそう思っていただけかもしれないけれど、わかいころ、とてもきれいだったと思う。高価なわけではないが、自分にとても似合う服を着て、自分にとても似合うアクセサリーを身につけていた。しかし、うろ覚えだけれど、あまりお化粧はしっかりしていなかった気がする。スキンケアもいいかげん。マニキュアをしたことは数えるほどしかなく(たぶん)、小学生のころだったか、突然マニキュアをした母を見て、大泣きしたこともある。まあ、そんな、そっけないというか、「ふつう」というか、飾り気のない母が、唯一いつもつけていたのが香水で、わたしも子どものころ、よく頭から香水をわりにたっぷりとふりかけられて(!)幼稚園などに行ったものである。そういうわけでわたしは今でも香水だけは好き。今日はひさしぶりに少し散歩して、外苑前のほうを通ったのととてもあたらしい気分だったこともあり、サンタ・マリア・ノヴェッラに立ちより、香水を新調することにした。選んだ香りは「エヴァ」。家に帰ってよく調べてみたら、タバコ、ベティベール、ブラックペッパー、ナツメグ、シダーウッド、ベルガモット、レモン、という組み合わせですと! 独特なさわやかさを感じて選んだのだけれど、タバコが含まれていたなんて。なお、先日読者のかたから、今つけている香りはなにですかと聞かれて、サンタ・マリア・ノヴェッラの「すずらん」とこたえてしまいましたが、「すいかずら」のまちがいでした。ごめんなさい。そういえば、母の父(つまりわたしの祖父)も、年齢を重ねてからも、淡く、香水をつけていたと聞いたことがある。香水好きの歴史は、こうして、わりにしっかりと続いていくものなのですね。