2013年10月10日

あたらしいメンズ

フェス2

野外上映会で楽しませてくださった有坂さんとは、この日のフェスではじめてお会いした。上映会がはじまる前、福太郎さんとわたしは、有坂さんが番をしていたちいさな焚き火の前に座らせていただき、有坂さんから、19歳まで『グーニーズ』と『E.T.』しか見たことがなかった話、新宿のレンタルビデオやさんでの痛快なエピソード、など時間をかけてうかがう機会にめぐまれた。有坂さんの、わけへだてない、実に調和的な、映画へのまなざしが、夜になって冷えてきたからだに沁みた。「こんなにオレは知っている」とか「難解な映画についてのうんちくあれこれ」とか、そういう映画論、的なものから、完全に解き放たれたまなざしに、ヤられた。やさしいのです。映画に対しても人に対しても。「オレオレ」じゃないの。聴けば、有坂さんは、19歳までサッカー少年で、Jリーグのテストも受けたほどの腕前とか。偶然だけれど、一緒に聴いていた福太郎さんも元ラガーマンだけれど絵本好き。しかも高校時代は、激しいラグビーの練習が終ったあと(彼もまたとても強いチームにいた)、かばんを置くやいなや本屋さんにかけていき、月刊カドカワに投稿した詩が掲載されていないかチェックしにいっていたポエマーでもあった。体育会系なんだけれど、文化系、な人たち。そうそう、この日、似顔絵を描いてもらった男性もやはり体育会→芸術大学進学、の人だった。ハイブリッドなメンズたちには、大人になんかわからない魅力がまだまだ隠れている。今までとはちがうやりかたで、あたらしい世界をひらいていこうとしている。女性性と男性性は、わたしたちが思っているよりも融合しようとしている。「焚き火の前にはキアヌ・リーブスとリバー・フェニックス(男ふたり)」に、混ぜてもらって気持ちが舞いあがったからではない。嬬恋の山のなかで、あたらしいときがひらきはじめているのをわたしは見た。あたらしい男性たちが、あたらしい女性たち同様、その鍵を、大きくてやわらかい手のなかに、しっかりとにぎっている。