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『自分を大切にできない時に読む本』

  • 筑摩書房=刊
  • 2026年6月10日発売

大原扁理さんから「自分を大切にできない時、どうしたらいいと思いますか」と質問を投げかけられたことがきっかけで生まれた本で、大原扁理さんと一緒に書きました。えっ、「自分を大切にできない時」ですって⁉︎ なんとわたしは考えたことがなかったのです。何より、ずっと自分のことなんかひとつも大事にしていなかった頃には、思いつかなかった発想でした。そういうわけでこの問い自体が、わたしは、「自分を大切にする」ということに含まれている、と、まずはじめに思いました。だから、この本を手に取ろうとか、読んでみようと思った方は、もう、今から「自分を大切にする」ということがはじまっているように思います。そこに意識が行くことが、何よりまず大事だから。繰り返しになりますが、わたしが自分で自分のことを見捨てていた時は、こんなことを思いつきもしなかった。大原扁理さんの感性が本当にすばらしいと思いました。

わたしは、本当に平凡な編集者のはしくれであり、文章を書く仕事をしているものであり、何かの専門家ではありません。だから、自分が感じたことや経験したことしか書けませんでした。でも、現状で、大原扁理さんに伝えたい、わたしがやってみてよかった知恵は余すことなくお伝えしました。時に、扁理さんの背中にびわの葉を置き、こんにゃく湿布をして差し上げたり、一緒に砂に埋まる砂浴合宿にも行きました。どんなことが起こったのかはぜひ本書をお読みくださいね。
と、そんなこんなで、きせずして、約20年活動してきて関わってきた自然由来のセルフケアについての集大成的な本になったとも感じています。(もちろんそれぞれ詳しく知りたい方は、ちくま文庫の「あたらしい自分になる本」シリーズをぜひ読んでいただきたいです。全部で3冊あります)自分がいいなと思っていたこと、試して心底よかったこと、助かったことを、大原扁理さんがこれでもかと試してくださり(!)他者の目を借りて、さまざまな知恵の魅力を追体験できたこともかけがえのない体験でした。おかげさまで、この本を書くことでセルフケアについて、さらに更新されたこともあります。ぜひその部分も読んでいただきたいなと思います。

何より、「今本当にわたししんどいんだ」「そうなんだ」と話し、共感し合うこと。何もかも全部分かりあえなくたってただただ寄り添いあうこと。
こういったこと自体がセルフケアだと、本を書き終わって、思います(だからこの本自体が、なんというか、セルフケアの場そのものともなっています)。
いいんです、すぐに何か解答が出たり、いきなりスタスタ歩いて満面の笑みを振り撒いたりできなくったって。どうやら、たくさんの体験をしてそれを味わい尽くして、自分なりに立ち向かって、できればいつか手放して、可能ならば許したり、いや、いいや、許さなくてもいいや、ただ、その傷があるということを自分が知って、見つめて、時に、そっと抱きしめたり、誰かに聞いてもらったり、そういう営みを営々と続けるほかない。それがこの地球という星の特徴なのかなと最近つくづく感じています。

そして、もし、ただただ同じ営みを続けることに飽きたら、何か、取り組むことはあるよ、というのがこの本で言いたかったことなのかなと思います。この本に載っていることが合う人も合わない人もいると思います。興味をもつ人ももたない人もいると思います。ただ、自然由来の知恵は、安全でやさしいです。取り組み続けるほどに安心感が増していきます。本当です。わたし自身、この本に載っている知恵たちに支えられて、自分を大切にするということをなんとかデフォルトでできるようになった一人です。
大原扁理さんのあり方、文章もとってもやさしいです。どこまでも、読む方とともにある、そんな文章で、この本をつくりながら、どれだけわたし自身が励まされ勇気づけられたかわかりません。だから、この本に書いてあることを試さなくても、読むだけでも十分、ご自身の中の何かが、自然にあたためられるのではないでしょうか。

人間の中に眠る自然(愛、神性と呼んでも)を、わたしたちは、もうだめだーとなっても発露することができる。そのことがどんなにすごくてすばらしいことか、もっと人間は自覚してもいいんじゃないでしょうか。そうして、何か、人間の中にあるそういった力を、いよいよ本当に発揮し合う時が来ているとも感じています。ある意味で、生きるのがとても大変な時代だけれど、この今この瞬間からでも、自分をケアして、少しでも心身を労って、希望をもつことができると言いたいです。さまざまな知恵と知恵を教えてくださった先人への恩返しの本、恩送りの本でもあります。