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『わたしと霊性』

  • 平凡社=刊
  • 2019年9月19日発売

書きはじめたら、これほどまでにどんどんと筆が進む本もなく、しかし、実際、一冊の本にまとめて出すとなると、これまでにあじわったことのない勇気の必要だった本。もっと軽いタイトルでもよかったのかもしれないが、いつのときからか「わたしと霊性」になっていってしまった。「霊性とわたし」でもなく「わたしと霊性」。「霊性とわたし」だと、霊性全般について語る感じがして、それには自分は役不足だと感じた。あくまで、わたしの場合、個人的なわたしとしての関わり合いのなかでの霊性ならば、語ることができる。そうして「わたしと……」となった。「スピリチュアル」も決してきらいなわけではない。でも、わたしにとっては「霊性」といったほうが腑に落ちる。霊的な世界や、霊性が高まるということは、わたしにとって、非常にたいせつなものだ。常にリスペクトを欠かしたくない何か。もっといえば人間そのもの。この世界の存在の中に完全にあるもの。霊性を欠いたものの、なにがおもしろく、なにがうつくしいというのか? 霊性をおとしめることは、自らを、誰かを、この世界のありとあらゆる存在じたいをおとしめることだろうと感じられる。どんな場合も、存在には目に見えるものと目に見えないもの両方がある。確固としてある。宗教や、思想信条や、科学や、ビジネス的なものからも離れて、このテーマをほんとうに自分は書きたかったんだなあ。書きはじめて、そのことがわかったし、一冊の本になってみて、もっとその意味がわかってきたように感ずる。装丁は佐々木暁さん、写真は川島小鳥さん。内容からこの表紙が出てきたことも奇跡みたいだ。装丁家は、すぐれた芸術家は、チャネラーだし、確かなかたちで霊的な世界と通じ、霊的な力をつかっていると思う。