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『わたしらしく働く!』

  • マガジンハウス=刊
  • 2016年4月28日発売

わたしが働きはじめたのは24歳のころ。育児雑誌の編集者として仕事をスタートした頃は、今思っても、本当に、どうしようもない甘ちゃんで、自信がないのにプライドばかり高くて、鼻っ柱がつよいくせにこころもからだも弱っちくて、煮ても焼いても食えない新人、という感じでした。約2年半の雑誌編集部員を経て、フリーランスのライター&編集者となり、30歳代後半でマーマーマガジンを創刊誌し、出版社を立ち上げるまで……。約20年間のわたしの仕事についてふりかえっている本です。あのようなヒドい新人が、今のように、自分が好きなように雑誌を編集させてもらったり、おもしろい出版社をたちあげたり、本を書かせていただけるようになったのは、なぜか。ありとあらゆることが影響していると思いますが、本当に、本当に、本当に、わたしにとってはこの仕事という存在が、わたしという人間の角を取り、堅かった部分をほぐし、粗かったところを細やかにしてくれ、少しはましな人間に……育ててくれたと痛感しています。それにしても、本当に人は、たくさんの人に支えられ、助けられ、守られて、大人になっていくものなんですね。一体何人の人に育てられたのか! こうふりかえると、人生においてヒール役だった人ほど、自分にとっては宝だったとわかります。悪魔も天使。天使も天使。なお、この本の後半では、わたし自身が仕事をする上で気をつけていること、先人たちからゆずりうけた仕事の知恵を24、ご紹介しています。ひとりひとりが、自分自身の「本音」を聞くちからをもって、自分らしく生きることに勇気をもって立ち向かう時、この世界は、少しは住みやすくなるのかな……と、そんな思いで書きました。一生懸命働いている、その結果にあるものが、自然破壊や、いじめや、貧困や、心身の不調や病気、そして戦争だったりするのは……、わたしは、心底かなしいことだと思います。でも、そうではない選択を、もう、ひとりひとりの人ができると思う。自分自身が幸福であることのみ、まわりの人をも幸福にすると思います。幸福になる機会はすべての人に与えられていると思います。同調圧力になんか負けないで(自分がつくりだした幻だ!)、あたらしい時代の働き方のために、勇気の一助になれたらこの上なくうれしいです。